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130dBの利得をもった1–V–1

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1
130dB の利得をもった 1–V–1
1–V–1 を最もすぐれた性能に仕上げるにはいくつかのポイントがある.そのきめ手を詳細に解説したオー
トダインの決定版
1 ストレート方式の良さ
1–V–1 というのは,RF 増幅 1 段の
真空管検波方式,そして低周波増幅は
1 段である受信機を表します.この受
信機は今日のスーパー受信機の流行を
見るまでは,最も高感度の受信機とし
て広く使われたものです.しかし今日
でも,スーパーよりも優れた数々の点
があって,特に電信の受信などには偉
本機のパネルレイアウト
力を発揮しております。
面白いことに,1–V–1 が近代スーパーよりも優れている数々の点は,すべてスー
パーの欠点に当る部分です.次に主なるものをあげてみます。
(1) 利得の高い再生検波 本機は RF1 段,再生検波,低周波 1 段で,整流管を
含めて 4 球ですが,再生検波回路の感度が極めて高く,この部分だけで 100 万倍の
ひってき
利得があるといわれている程で,感度の点では多球式のスーパーに 匹敵
します.し
かし一面,実際にその性能を発揮させるには,構造や回路も簡単であるだけに案外
難かしいのです.
(2) 雑音がない スーパーでは設計や製作の不備から,どうしても発生する真空
管の内部より起こるノイズ (雑音),ミクサー回路などから生ずるノイズは,どうし
ようもありませんが,本機では以上のようなノイズはほとんどありませんから,電
源のハムさえなければ,あとはすべてアンテナに受かった電波だけが音となってき
こえるわけです。
スーパーの場合は。微弱な電波を受ける場合は,ジャージャーという雑音におお
われて、かんじんの電波がはいりにくいですが、本機ではどんな弱い電波でも,受
信機自体の雑音がほとんどないから,ことごとく受けられるわけです。
2
RFC
検波コイル
6K7
6SG7 2.5mH
165V
L4
3P
100P
300P
P'
62V
アンテナコイル
A
30P
.01
20µ
300VW
A'
A'
E
B
E
100P
アンテナ
コンペン
セーター
13V
~1V
300Ω
1 W
3
10K
VR
C Type
.01
74V
1 W
3
40K 1 2W
3M
HF
100P
L1
2Ω
250Ω
1 W
2
1K
170V
30K
6K7 6SG7 6AQ5
P.L
50K
2W
6.3V
5MK9
6.3V 2A
100V
AC
100V
SP
10µ
50VW
30K
1 W
3
5ΚΩ
500K
VR
F A-type
L3
.01
15K 1 2W
L2
PHONE
1:3 AFT G
P
100P
P
G
AFT
1:1~2 2 .001~.005
.003
DA
A
6AQ5
62V
B'
165V
20H 60mA
180V
40µ
350WV
200V
60mA
40µ
350WV
90V
0V
5V 1A
STBY
SW
第 1 図 1–V–1 の全回路図。RF 増幅管 6K7 入手難のときは,ガラス管 6D6 のリバイバル物の登場もよい。
6SG7 は 6BA6 で代用できる
(3) 球数の少ない程雑音も少ない 本機のように,球数が少なくて感度はスー
パー級といえば,おかしいと思うのも無理からぬことです。受信機の感度というも
のは,アンテナに感じた電波を,どこまでの弱さまで満足にききとるかということ
で決めるものです。そのためノイズのある受信機では,同調回路を増したり,フィ
ルタを使ったりしてノイズを除いた信号だけを増幅しようとするために,ますます
多球式となりますが,その割合には,微弱電波に対する感度は,実際には増加しない
結果になります。球を増すことによって,真空管より発生するノイズが増加し,い
つも信号対雑音比は低下するようになり,ききたい電波は雑音にかくされてきこえ
にくくなってしまいます。
これに対し 1–V–1 方式では,球のノイズは,受信にほとんどじゃまにならぬ程球
数が少なく,受信する電波信号を再生検波法で,驚くばかりの増幅検波を行ないま
アームストロング
す。この方式の生命であるこの回路の発明者1 (Armstrong
E. H.) によれば,この検
波回路だけで 100 万倍の増幅が得られるといいます。それに RF1 段,低周波 1 段が
1 スーパー・ヘテロダイン回路の原理も,スーパーレゼェネレーチィブ (超再生) 回路も共に,アームストロングによって
発明せられたものです
3
つくわけで,それらの総利得を合せれば,12∼14 球のスーパーに匹敵するわけです。
(4) 選択性の問題 多球式スーパーの方が確かに本機より優れていますが,ここ
にのべるようなくふうをすれば,スーパー級の選択性が得られるようになります。
(a) コイルを高い Q のものに作り,これに 100pF 程度の容量 (C) を並列に加え,
一つのバンドの範囲をなるべく狭くし,アンテナ回路は,アンテナ線からの影響を
なるべく軽くし,同調回路の Q を低くさせないようにする。
(b) 同調バリコンには並列に小容量の補正バリコンを加え,これをアンテナ・コ
ンペンセータとして使って,いつも精密な同調を行ない,RF 同調コイルと検波回路
の同調コイルは,常に受けたい電波にピッタリ合うようにしたうえで,それに十分
の再生をかける。
(5) イメージもスプリアスもない スーパーのようにイメージやスプリアスが起
こることなく,不用の有害電波は全く受からないから,きこえる音はすべて,アン
テナに感じた希望電波そのものである点は,本機の特長でありましょう。
2 本機の設計と構成
本機のような再生検波式のものは,RF の増幅を行なわなくても感度の点だけなら
ば,5 球スーパー以上の性能がありますが,選択度を向上するためと再生がかかり
すぎて,逆にアンテナから電波が発射されることを防ぐ目的で,どうしても RF 増
幅を 1 段おくことがあります。
本機では以上の目的で
RF 増幅を 1 段おき,さらに
Q の高い ANT コイルを使
い,同調を厳密に行なって
効果を上げました。この場
合,設計を誤まると RF 回
路と検波回路で干渉を起こ
して,正確に同調がとれた
場合に発振を起こす心配が
あります。この種の発振は,
回路の性能が向上すればす
るほど起こりやすくなって
きます。
シャシ上面
4
この問題は,RF 回路をできる限り検波回路
から遮断することで解決されます。実際には
右の写真のように,RF 回路のグリッド側まで
を他の回路から金属板を使って遮断しなくて
はなりません。そのために RF 増幅管は 6K7
を選びました。この球はグリッドが球の頂点
(頭の上) にあって,遮蔽 (シールド) がしやす
いからです。
RF 部と検波部のシールドは厳重にする
第 2 図のシャシ構造図で示す
バリコン
ように RF 回路と検波回路を,バ
リコン,真空管も含めて,金属板
で完全に隔離し,シャシの上部で
2 連バリコンの前半分だけと,コ
イル (プラグイン式) と,真空管
調整用
側 板
アンテナコイルは
30mm シャシよ
りうかしてつける
補
強
用
側
板
6K7 のグリッド・キャップまで
を独立の RF 回路とします。6K7
はプレート極が下部のソケット
側にあって,金属製シャシに取
付けることで,RF 部はシャシの
表面に,検波部はシャシの裏面
シールド線
に隔離されます。これで,はじ
めてニウトロドン (中和容量) を
第 2 図 シャシ上の部品配置 (単位 mm)
使わないで安定化します。使用しているアンテナの長さや,再生のかかり具合等に
よって,2 連バリコンで同調しても,多少はアンテナ回路 (RF 回路) と再生検波回路
との同調点にくるいが起こることがあるもので,その場合は,アンテナ回路の補正
を別の 30pF 程度の豆コンデンサで調整し,正確な同調点をいつも保つようにしま
す。これが,アンテナ・コンペンセータの役目になります。
本機に使うアンテナは,ダイポールならば,A と A′ にそれを接いで E は接地する
し,また単線アンテナならば,A に接いで A′ と E を一緒にして接地するのが普通
ですが,数 m の長さの単線を室内に張った比較的小形のアンテナを回路図に示した
DA 端子につないで使っても,なかなか素晴しい性能が発揮できます。また受信電
波が極端に強力なときは 6K7 のカソード抵抗 (RF 利得調節器) の調整で過負荷にな
5
らないですみます。
30
20 20 20
45
パネルはアルミで
厚さ 1.5∼2mm のもの
12 φ 10 φ
30
70
20
8φ
80
10 φ
80
80
350
起こります。本機が特に微弱な信号に対し
300
20
175
しょう。
16 φ
30 φ
45
して,そのプレート側のインピーダンスが
45
50
50
30 φ
55
16 φ
30 φ
低周波トランスの 1 次側にマッチしやすい
55
35
20
55
て感度のよいのは以上の理由によるもので
検波回路は五極管 6SG7 を三極管接続と
8φ
12 φ
135
力をアンテナに加え,さらに再生をかける
と過負荷になってしまって分離力の劣化が
8φ
8φ
8φ
45
65
も分離も最高になります。反対に充分な入
200
を十分に活用するように調節すれば,感度
12 φ
8φ
50
よりなるべく弱い電波を加えて,再生検波
80
60
20
本機を満足な成績で使うには,アンテナ
30 φ
シャシはアルミで
厚さ 1.5∼2mm のも
の
ようにし,RF 管 6K7 のプレート側で検波
第 3 図 パネルおよびシャシの設計図
コイルを同調しました。
再生のかけ方は,検波管のプレートから
検波コイルにフィード・バックさせ,その
量は 100pF 位のバリコンで調節し,その一
端を低周波トランス 1:3 の 1 次側にあたえ,
B+ の電圧は検波特性の最上になるような
ものにします。低周波増幅は 6AQ5 を使い
スピーカでも HAM 局ならば十分と思うほ
どに働きますが,本来は受話器で受けるわ
けですから,非常に多数の小さな局がいち
いち明確に妨害なしにきかれます。
3 ハム音除去の問題
本機のように,受信機そのものから雑音
のほとんど発生しない受信機では,弱い電
波をもれなく受けるためには,電源からの
シャシ裏面
ハム音を完全に除去しなければ損です。つ
まり,そうすることによって,ハム音よりも弱い電波まで完全に受けられるからです。
6
ハムの除去は,B 電源では,
40
30
20
電解コンデンサの容量をなる
べく多くし,ヒータの回路で
行くまでの 2 本の線を撚り合
せて,2 本の長さを全く同じ
線し,どちらかの一本を最も
ハムの減少する点を刻明に探
❶
❶
は,電源トランスから各球に
寸法にし,シャシに接して配
❶受話器で 非再生の時
入
力
電
圧
(µV)
し,その点をアースすること
で,最もハム音の少ない状態
10
8
6
4
3
2
1
0.8
0.6
0.4
❷
❷スピーカで
AM 受信の時
❷
❸
❸スピーカで
CW 受信の時
❹受話器で
AM 受信の時
0.1
0.08
0.06
また低周波トランスの位置
❹
❺
❹
S.G. REC R V.V.
雑音は R = 5KΩ 0.1V だから
S/Nは 157:1
0.2
となります。
❸
❺受話器で
CW 受信の時
❺
スピーカの場合出力 15.7V(50mW)
受話器の場合は十分確実に聞きとれる
程度に働かした場合
によっては電源トランスから
3.5
漏えい磁力線を感じてハムが
3.75
4
6
周波トランスの取り付け位置
S.G. REC R V.V.
と方向や角度をいろいろ確か
ます。レシーバで聞いて全く
ハムのきこえない状態が求め
られればそれで合格です。
第 1 図の回路図に示すよう
に,レシーバの回路に,0.001
7 13.5 14 14.5
15
第 4 図 a 感度特性 (縦軸を入力電圧で表わした場合)
でることがありますから,低
めて,ハム音最少の状態とし
6.5
周 波 数 (Mc)
利
得
(db)
150
140
130
120
110
3.5
3.75
4
R = 5KΩ, W = 15.7V · · · 50mW
S/N(157/1)·(ノイズを 0.1V として測定)
AM(電話受信) 受信とした場合のみの感度を
表わす
6
6.5
7
13.5 14 14.5
15
周 波 数 (Mc)
第 4 図 b 感度特性 (縦軸を dB で表わした場合)
∼0.005µF のマイカ・コンデンサを一個直列に接ぎ,50 c/sとか 60 c/sなどのハム音を
ここでも喰止めるようにし,ハム音の除去には念には念を入れたつもりです。
本機のハム音や雑音のようすは,発振直前になる程に再生をかけておいて,雑音
などが最高である状態で真空管電圧計で検査しました結果,0.1V でありました。こ
の音は,再生検波のきいたときのサーッという軽快な音であります。これも検波の
グリッド・リークを無雑音形に取り換えることで半減することが可能です。
4 入念に作ったときの性能について
7
この 1–V–1 の感度は,
60
(A) バンド 3.2Mc∼4.15Mc 帯で
は出力 50mW(インピーダンス 5kΩ
50
ならば出力電圧で 15.7V),すなわち
40
ダイナミック・スピーカが十分に働
く程度に受信できるときのアンテ
ナ入力電圧を測りました。このと
きの信号対雑音比 (S/N) は,15.7V
対 0.1V で 157:1 という大きなもの
で,AM の場合の入力が,3.5Mc で
30
S.G. REC R W
S/N を 157:1 として,出力
500Ω に 15.7V(50mW) を出
す状態にして,SG(シグナルゼネ
レータ) を離調し,その入力の増
加率を dB として表示する。但
し,AM 受信の状態で測定する
6.5µV,3.8Mc で 3.5µV,4.02Mc で
3.5µV,CW(連続波) では 3.5Mc で
4.5µV,3.8Mc で 2µV,4.02Mc で
1.5µV でありましたが,レシーバで
20
10
0
3500 3505 3510 3515 3520 3525 3530 3535 3540
7050
7075 7100 7125 7150
受けますと 0.2V で受けられますの
で,スピーカのときの 70∼80 倍も
14150
14200
−20 −10 +10 +20
感度が増します。
14250
周 波 数 (Mc)
(B) バンド 7Mc 帯,
第 5 図 選択度特性
(C) バンド 14Mc 帯に対してもほ
とんど同じ程度の感度を持っております。第 4 図に感度特性を参考までに掲げてお
きます。
5 使用する部品
第 1 表に部分品の一覧表を示します。
コイルの作り方 コイルは本機では性能を決定す
る最も重要な部品で,前に述べたシャシの配置と共
に,最も力を注ぐ部分であります。第 6 図にコイル
の構造と細かいデータを示しました。一見して意外
に考えられそうな点は,アンテナ・コイルで,その 1
次側と 2 次側が非常に疎結合になっていることです。
アンテナ,検波コイル
1 次側の巻数が案外少なく,その上 2 次側との間隔
がとても広くできています。例えば (A) バンドでは 10mm,(B) バンドでは 13mm,
8
品
真空管
ソケット
名
バリコン
電源トランス
チョーク
低周波トランス
出力トランス
プラグイン・ボビン
ヘッドホン・ジャック
片切スナップ・スイッチ
高周波チョーク
端子板
パイロツトランプ, ジャツク
中形軍端子
つまみ
ダイヤル
端子板
ヒューズ・ホルダ
抵抗 P 形
規格および数量
6K7,6SG7,6AQ5,5MK9
US 形 タイト QQQ 製
UY 形 UZ 形 タイト QQQ 製
mT 形 7 ピン シールドなし ミツミ製
アルプス製 B22 ステァタイト基板
羽根 27 枚の小形トリーマ
羽根 14 枚の小形トリーマ
5V 1A,6.3V 2A,200V 60mA
20H 60mA
1 次と 2 次の比 1:3
1 次 5k,2 次 5k,2Ω
原色 UY,UZ 形
2.5mH,16mA
中継用 5P 2 個,1P 3 個
ハリクラフターズ形
バーニヤ形副尺つき,直径 75mm
アンプ用 2P 形
2P カバーつき
各1本
2個
各1個
2個
1個
1個
1個
l個
l個
1個
1個
各3個
l個
1個
1個
1個
各l個
4個
4個
1個
2個
1個
250Ω 1/2W
300Ω 1/3W
1k l/3W
15k l/2W
30k 1/3W
50k 2W
3M 1/4 4w
VRA 形 S 付
10k VRC 形
1個
1個
1個
1個
2個
1個
5個
1個
1個
チタコン 30P
100P
マイカ 100P
300P
デスク
電解 10µ50V
20µ300V
40µ × 2/350V
1個
2個
1個
1個
2個
1個
1個
1個
コンデンサ
第 1 表 1–V–1 部品一覧
9
100P
コイル区分
A
バ
ン
ド
B
バ
ン
ド
C
バ
ン
ド
回数
線 種
3
18
18
5.5
1.9
10
10
4.5
2
4
4
1.5
0.26ϕ
0.4 ϕ
0.4 ϕ
0.26ϕ
0.26ϕ
0.55ϕ
0.55ϕ
0.26ϕ
0.26ϕ
0.7 ϕ
0.7 ϕ
0.26ϕ
L1
L2
L3
L4
L1
L2
L3
L4
L1
L2
L3
L4
巻幅
(mm)
3
18
18
5
2
20
20
4
2
10
10
3
コイル
間 隔
10
(mm)
5
(mm)
13
(mm)
2
(mm)
15
(mm)
5
(mm)
巻き方
各 溝 巻
各 溝 巻
各 溝 巻
各 溝 巻
各 溝 巻
1 溝おき巻
1 溝おき巻
各 溝 巻
各 溝 巻
2 溝おき巻
2 溝おき巻
2 溝おき巻
G
検波コイル
一 溝 巻
二溝おき巻
L1
アンテナ・コイル
B' P' P
A
UY 形
L2
L4
各 溝 巻
A'
E
コイル間隔
100P
B
UZ 形
L3
コイル間隔
第 6 図 コイル・データ
(c) バンドでは 15mm もあります。これは巻回数の少ないことと,間隔を広げること
で,アンテナ回路とその 2 次側との結合をできるだけ疎にし,2 次側 (同調側) の Q
をおとさないで選択度をよくするように努めたことによるものです。この部分を欲
ばって密結合に作ると,見かけの感度はずっと向上しますが同調回路の Q は低下し,
選択性が劣化し,雑音の受信が増加し極めて微弱な電波は受かってはいても,雑音
に覆われてききとりにくくなり,結果としては,感度低下と同じになってしまうも
のです。本機ではこの疎結合の点も特長の一つということができるでしょう。
さてこの RF 用のコイルは,UY 形 (五本脚) で,4 本だけを使って,一本はスペア
に残しておきました。
検波用コイルでは,再生用のコイルが同調コイルのグリッド側の上方に 5mm 程
度の間隔をおいて巻かれており,回数も案外少ないことが目立ちます。このコイル
の巻枠は UZ 形 (6 本脚) で,スペアとして脚 2 本を残しました。巻線のやり方,回
数などは,第 6 図に示しました。
同調用のバリコン タイト製の絶縁板を持った標準容量のものですから,約 400pF
の 2 連式ですが,それから 100pF 分だけ (ステータ,ロータで 7 枚) 使うように,ス
テータを切り去って使います。本機はハム・バンド用の受信が目的ですから,バリ
コンの 100pF の他に,別の 100pF のシルバー・マイカを各コイルに並列に取り付け,
バリコンの可変範囲を最小 100pF,最大 200pF (約) にします,このようにハイ・シー
(High C) 形にしますと,再生のかかり方が一定し,受信性能もずつと安定してきます。
10
アンテナ・コンペンセータ(アンテナ補正) 30pF のものです。
6 組み立てと配線について
回路図が十分に頭に入っていませんと,立派な配線はできないものですから,配線
に当ってはよく回路図を研究し,第 7 図の実体図を参考にして入念に,しかも必要
以上に線を長くしないように気をつけて配線することが大事です。500kΩ のボリウ
ム・コントロールヘ低周波トランスから行く線と,そのコントロールの可動極 (アー
ム) から 6AQ5 のグリッドに行く線だけは,よいシールド線を使うと雑音が発生しな
いですみます。また適当にラグ板を利用して,配線や部分品が安全に固定できるよ
うにすればりっぱに仕上ります。
7 試験と調整法
回路図の通りに間違いなく細み立て・配線が完了すれば,もうプラグイン・コイル
をつけ,真空管を差し込み,電源につなげばそのままでうまく動作するわけです。第
1 図の回路図に各部分の主な電圧を記入しておきました。最終的なことですが,木
機では RF の 6K7(メタル球) はスクリーン・グリッド (SG) 電圧 74V プレート電圧
165V で,カソードは 1V∼13V の間が加減でき,検波管 6SG7(メタル球) は三極管接
続とし,プレートに 62V を与えたときが最も能率のよいグリッド検波として働きま
した。低周波の 6AQ5 はプレート電圧が 165V,カソードは 250Ω の抵抗をつないで
セルフ・バイアスとしました。この状態はなかなか重要な関係を性能の上に持ちます。
殊に検波の電圧は各球によっても多少最良の点が異ってきますが,一つの基準とな
りましょう。一応動作したならば,ヘッドホンでハムがないか確かめます。もしあ
れば前述したような手段でほとんどききとれぬ程度に除去しなくてはなりません。
再生用の 100pF の豆コンを静かに調整して,再生が静かに滑かにかかるかどうか
確かめてみます。さらに念のため,低周波トランスの B+ 側にある 15kΩ の抵抗を増
減して,再生のかかり方が最もよい状態を求めます。もし全く再生がかからぬよう
なときは,検波コイルの P,B,のつなぎ方を反対にしてみなければなりません。再
生のかかり方が受信帯域のどの位置でもほとんど同じにかかるようであれば満点で
す。ここで,なにかなるべく弱い電波を受けてみます。再生の調整がある程度うま
くいっておれば,意外と思う程よく増幅されていることを見出すでしょう。ここで
アンテナ回路の 30pF の補正コンデンサを調整してみます。調整によって更に感度
が向上するようであれば合格ですが,この加減でかえって感度低下であれば,アン
11
第 7 図 シャシ裏実体配線図
12
テナ・コイルと検波コイルの単一調整が不良である証拠ですから,アンテナ・コイ
ルに並列の 100pF の固定コンデンサを,10pF∼20pF 少ないものに取り換えてピッ
タリ同調できるようにします。
すっかり完全に同調するようになったな
らば,試みにアンテナをだんだん短かくし
て,同じ電波を受けてみます。受信機が完
全にでき上ったものならば,アンテナの長
さがずっと短くなっても,再生の調整だけ
で案外受信力は変化しないものだと気付か
れるでしょう。これで完全に仕上がったも
デップメータ
のと考えてよろしいです。
第 8 図 受信機
グリッド・ディップ・メータをテストオ
シレータの代用に使う方法
6K7 のカソード電圧の調節で,相当広い
範囲にわたって感度を変えることができますが,感度を最大にしたまま,再生検波
が静かにかかることが理想です。しかし自作機では必ずしもそううまくゆくとばか
りはいえませんが,ほんの少々しぼるだけで,安定度が増加するようであれば,よ
ろしい方でしょう。
グリッド・デイップ・メータで調整すると便利で早くできます。デイップ・メー
タで変調ができるものを用意し,第 8 図に示すように,ディップ・メータのコイル
20mm 位
デップメータ
A 100P
B 100P
Ⓐ
A
B
100P
100P
Ⓑ コイルの設計図
第 9 図 任意の受信周波数帯がきけるコイルを作るにはディップ・メータでおいこんでいく
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に長さ 1m 位のビニール線をゆるく巻き付け,受信機のアンテナ端子にも 1/2m 位の
ビニール線を取り付けて,双方の線を互に近づけておけば,テストオシレータと同
様,再生の状態などの検査に使うことができます。またデイップ・メータを使って
ダイヤルの目盛と周波数の関係を調ベておけば,何度のとき何 Mc が受けられるか
も知ることができます。
プラグイン・コイル式であることの強味は,どんな周波数でも受けられるように
なることです。今は HAM バンドだけを受けるつもりでコイルを作りましたが,デ
イップ・メータを使えばどんな周波数のコイルでも正確に作ることができますから,
海外放送など,たとえば,6Mc,6.5Mc,11.5Mc,15Mc,18Mc,21.5Mc などの周
波帯のコイルも作ることができます.
その方法は,第 9 図Ⓐに示すように,巻わくに適当と考える,巻線をほどこし,それ
に 100pF のコンデンサを接いだものを,ディップ・メータで検査し,何 kc でデイッ
プがあるかを調ベます。100pF のコンデンサを接いだときが最高周波数で,200pF
にそれを増加した場合が最低周波数ですから,この方法で,何個でも希望の周波数
帯のコイルができます。再生コイルの巻回数の決定は,はじめに幾分多く巻いてお
き,実際に再生の調整をとりながら働かせ,適当に巻数を減らして作れはうまくで
きます。
コイルの Q を高くする巻線の方法は,理論的にはなかなか難かしいことですが,実
際にはやさしい問題で,コイルの巻幅と直径を,およそ 1 対 1 にすればよいわけです。
そのために巻線の太さは,上の条件になる程度で太いほどよいわけです。ただし,ア
ンテナ・コイルの 1 次側と再生用のコイルは,細い線のままで,結果は悪くはあり
ません。コイルは巻線が終って周波数の検査がすめば,防湿と安定化のために高周
波塗料を十分に塗ってよく乾燥させておけば,永年変化することはありません。
PDF 化にあたって
本 PDF は,
『アマチュア用通信形受信機の製作』
(茨木 悟著、日本放送出版協会,1952 年)
の「第 2 章 130dB の利得をもった 1–V–1」
を元に作成したものである。
PDF 化にあたっては,LATEX 2ε で組版し,dvipdfmx で PDF 化した。
ラジオ関係の古典的な書籍及び雑誌のいくつかを
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ラジオ温故知新(http://fomalhaut.web.infoseek.co.jp/index.html)
に、
ラジオの回路図を
ラジオ回路図博物館
(http://fomalhaut.web.infoseek.co.jp/radio/radio-circuit.
html)
に収録してある。参考にしてほしい。
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