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15 年変動利付国債と会計制度

エンベッド
や さ し い 解 説
最終回
15 年変動利付国債と会計制度
アナリスト 平井こうたろう
最終回となる今回は 15 年変動利付国債投資における会計制度との関連をお話したいと思います。
制度変更と金融機関による債券投資
現在の金融機関の決算及び自己資本比率規制は会計制度と密接に関係しており、また会計制度の変革
の中で発行されてきたのが 15 年変動利付国債という言い方もできるかもしれません。
金融商品は時代とともにとても高度化・複雑化が進み、会計制度がなかなかついていかないという問
題を抱えている中、2000 年 1 月に「金融商品会計に関する実務指針」が公表されました。現在行われてい
る会計処理については、2008 年 3 月に一部改正されておりますが、この実務指針に示されたものがベー
スになっています。
金融機関、特に銀行の自己勘定による債券投資を例に説明していきましょう。15 年変動利付国債が発
行され始めた当時は、日銀によるゼロ金利解除がいつになるのか、国内銀行の不良債権処理がいつ完了
するかがテーマでした。実務指針では債券投資を行う際に「債券の保有区分を明記する」ということが求
められ、
「売買目的有価証券」
「満期保有目的」
「その他有価証券」といったように、何故購入し保有するの
かを事前に決めることで会計処理が変わるという方法になりました。
とても簡単に言ってしまえば「売買目的」は短期売買を目的としたもの、
「満期保有目的」は文字通り償
還まで保有するもの、「その他有価証券」がそれ以外となり、通常の銀行の自己勘定による債券投資は
「そ
の他有価証券」に該当します。
この保有区分で
「満期保有目的」を認めたことが銀行を喜ばせ悩ませました。会計処理において、
「満期
保有目的」とすれば途中の時価の評価は計上する必要がなくなるためです。安定的にクーポン収入を獲得
して不良債権処理を進めたい銀行は、とても飛びつきたくなる方法ですが、一方で風評リスクがあるの
ではないかというジレンマに陥りました。
そんな中で 15 年変動利付国債が満期保有目的債券としてクローズアップされたのです。「15 年変動利
付国債……の第 1 回」でお話した通り、「将来の金利上昇に耐えられる債券」ということでポートフォリオ
に組み込まれる形になってしまったのです。
新 BIS 基準と 15 年変動利付国債
ゼロ金利解除や株価回復等に伴う金利上昇によって評価損が一旦減少し、あまり注目されなくなった
15 年変動利付国債は近年再び脚光を浴びることになりました。その背景には、もちろんサブプライム問
題発生以降の金利低下による再度の評価損発生ということもありますが、単にそれだけではなく新 BIS
基準によるリスク管理手法の高度化により、15 年変動利付国債の理論価格の算出方法にも影響を与える
ようになってきました。
新 BIS 基準では、自己資本比率算出におけるリスク量について、各リスク量を自己モデルで算出でき
るノウハウがあれば、独自のモデルによる自己評価方法を採用することができます。しかし 15 年変動利
付国債は国債であるということでリスクアセットの計算上はゼロカウントできるので、自己モデルでリ
スク量を算出する / しないは直接的に問題にはなりません。
問題は
「15 年変動利付国債をいくらで時価評価するのか」という点なのです。新 BIS 基準導入によっ
てデリバティブの評価方法等を確立しようと躍起になっている銀行は、15 年変動利付国債の売買参考統
計値の単価と自行で算出した理論価格を比較するということを考えました。高度なリスク管理手法を持
ち合わせていない金融機関は早々に損切りするという動きもあり、売買参考統計値は相当低いものにな
ってしまっているため、サブプライム問題で資本勘定がただでさえ減少している中では、時価評価の基
準価格についてどちらを採用するかは大きな問題としてクローズアップされてしまったのです。
Market Solutions Review
11
April 2009
会計制度変更と発行停止
銀行において待ったなしの状況下、2008 年 12 月 4 日、企業会計基準委員会は債券の保有区分変更を
認める会計基準を正式発表しました。リーマン・ショック以降、急激に悪化した銀行の資本不足の一時
的対処方法として、欧米で認められた動きと同じく「その他有価証券」から「満期保有目的」への事後的な
振り替えが、条件付ではありますが、可能となったのです。「恣意的な会計処理につながる」という意見
もあったものの、欧州金融機関が相次いで採用したことで国内でも認められる形となりました。
一方、15 年変動利付国債も投資家ニーズが減少したことで発行停止に追い込まれました。発行開始当
初には甘い汁を吸えると思っていた債券は、実際にはほとんど甘い汁を吸える局面もなく、逆に手痛い
経験をすることになってしまいました。十分なリスク分析を行わずにポートフォリオに組み込む決定を
し、理論αを無視した入札を行った結果が導いた結果です。
有価証券投資において本来リスクを取れる残存期間がどれくらいなのか、投資対象は正しく時価評価
ができるのか、インフレリスク発生時に対処する ALM はどうあるべきか、といったような問題を解決
できず会計処理変更によってしのいだとしても、今後の ALM の在り方を十分検討しないと、いつか再
び同様の問題に苦しむことは必至でしょう。
(平井こうたろうさんの「やさしい解説」は今回で、いったん、終了となります。再登場の日を楽しみにお待ち
下さい。創刊以来のご愛読ありがとうございました。)
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Market Solutions Review
12
April 2009
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